さく井工事とは 井戸掘削 ボーリング 建設業 基礎知識

さく井工事とは?読み方・意味・ボーリングとの違いをわかりやすく解説

さく井工事ガイド編集部

「さく井工事」という言葉を初めて目にして、読み方すらわからないという方も少なくありません。水道工事とは違うのか、ボーリング工事と同じなのか——本記事では、さく井工事の意味・読み方・英語表記から、ボーリング工事との違い、主な用途・工事の流れ、建設業法上の位置づけまで、基礎から体系的に解説します。

目次

  • さく井工事とは|読み方・意味・英語表記
  • さく井工事とボーリング工事の違い
  • さく井工事の主な用途と種類
  • さく井工事の施工の流れ
  • 建設業法上の「さく井工事業」とは
  • まとめ

さく井工事とは|読み方・意味・英語表記

読み方・漢字

「さく井工事」は**「さくせい こうじ」または「さくい こうじ」**と読みます。

漢字では**「鑿井工事」**と書きます。「鑿(さく・のみ)」は「掘る・穿つ」を意味する漢字で、井(い)戸を掘る工事という意味がそのまま込められています。業界内では「さく井」と平仮名まじり表記するのが一般的です。

英語表記

英語では “well drilling” または “well boring” と表します。国際的な文書では “water well construction” という表現も使われます。

さく井工事の定義

さく井工事とは、地下水・温泉水・ガスなどを採取するために地盤を掘削して井戸(さく井)を造る工事です。単に穴を掘るだけでなく、以下の一連の作業を含みます。

工程内容
掘削ビットやリグを使って地盤を掘り進める
ケーシング設置井戸壁の崩壊を防ぐ管を設置する
スクリーン設置砂・土の混入を防ぐフィルターを取り付ける
グラベルパック砂礫を充填してろ過効果を高める
揚水試験水量・水質を確認する
仕上げポンプ設置・配管工事

さく井工事とボーリング工事の違い

「ボーリング」と「さく井」は混同されやすいですが、目的と用途が根本的に異なります。

比較項目さく井工事ボーリング工事
目的水・温泉・ガスなどを採取するための井戸を造る地質・地盤の調査を目的とした孔を掘る
成果物継続的に使用する井戸(インフラ)調査データ・ボーリングコア(地層試料)
孔の継続使用長期間使用する調査後は埋め戻すことが多い
深さ数十m〜数百m数m〜数十m(地質調査の場合)
建設業の分類建設業法「さく井工事業」「とび・土工・コンクリート工事業」など
代表的な発注者農家・法人・自治体・温泉施設建設会社・行政機関(地盤調査目的)

簡潔にまとめると、「さく井工事」は水を継続的に使うための井戸を掘る工事「ボーリング工事」は地盤を調べるための孔を掘る調査作業です。どちらも地盤に穴を開ける点では共通していますが、目的も成果物も工事の法的分類もまったく異なります。


さく井工事の主な用途と種類

さく井工事が行われる場面は多岐にわたります。

生活用水・飲料水

上水道が整備されていない地域や、農村部・離島などで生活用の水源として利用されます。近年は水道料金の節減や断水時のバックアップとして、都市部の法人・施設が整備するケースも増えています。

農業用水

農地の灌漑・畜産用水として活用されます。安定した水源を自前で持つことで渇水時のリスクを軽減できます。農業法人や大規模農家での需要が多い分野です。

工業用水・業務用水

食品工場・飲料メーカー・建設現場など、大量の水を必要とする施設で利用されます。上水道の水量・水質に依存しない安定供給源として評価されています。

温泉掘削

温泉地での温泉水採取もさく井工事の一つです。深度が数百m〜1,000m以上になることもあり、専門的な掘削技術と温泉法に基づく許可が必要です。

防災・BCP用水

自然災害による断水対策として、企業・自治体・学校・病院が非常用水源として井戸を整備するケースが増えています。事業用途の井戸活用については「法人向け井戸の掘り方完全ガイド」もあわせてご覧ください。

完成後の維持管理について

井戸は掘って終わりではありません。長く安全に使い続けるためには、完成後の定期的なメンテナンスが欠かせません。

水質検査については、生活用水として使用する場合、水道法に準じた検査を年1回以上実施することが推奨されています。農業用途であっても灌漑に使う水の水質は作物の安全性に直結するため、定期確認が望ましいといえます。検査は都道府県の指定機関や民間の水質検査機関に依頼できます。

ポンプ・揚水設備は消耗品です。一般的な水中ポンプの耐用年数は10〜15年程度で、定期的な点検と部品交換が必要になります。

非常用井戸として普段は使わない場合には注意が必要です。長期間稼働させないとポンプが固着したり、井戸内に土砂が堆積したりすることがあります。年に数回は試運転を行い、正常に揚水できる状態を保つことを強くおすすめします。


さく井工事の施工の流れ

標準的な深井戸(30〜100m)の工事は以下の手順で進みます。

ステップ作業内容目安期間
STEP 1:事前調査・設計地質図・近隣掘削実績をもとに深度・工法を決定1〜2週間
STEP 2:準備・やぐら設置掘削機械(リグ)搬入・泥水循環システム設置1〜2日
STEP 3:掘削ビットを回転・打撃させながら掘り進める数日〜2週間
STEP 4:ケーシング・スクリーン設置鋼管とろ過フィルターを設置1〜2日
STEP 5:グラベルパック・洗浄砂礫充填・泥水を清水に置換1日
STEP 6:揚水試験・水質検査水量・水位の変化測定と水質確認1〜3日
STEP 7:ポンプ設置・完成水中ポンプ・配管・電気工事1〜3日

工期は深さ・地盤・工法によって大きく異なりますが、一般的な深井戸で1週間〜1か月程度が目安です。費用の目安についてはさく井工事の料金相場をご覧ください。


建設業法上の「さく井工事業」とは

さく井工事は、建設業法第2条に定める建設工事の種類の一つとして明確に規定されています。

法律上の定義

「さく井工事業」とは、**「さく井機械等を用いてさく孔・さく井を行う工事または当該さく井に関する設備を設置する工事」**を指します。

建設業許可が必要な場合

請負金額が500万円以上のさく井工事を受注する場合、国土交通大臣または都道府県知事の**建設業許可(さく井工事業)**が必要です。無許可での受注は建設業法違反となります。

発注者の立場では、依頼先の業者に建設業許可(さく井工事業)があるかどうかを確認することが適正な業者選定の第一ステップです。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」でオンライン確認できます。

関連する工事業種との区分

工事業種主な工事内容
さく井工事業井戸掘削・温泉掘削・地下水採取設備の設置
土木工事業河川・道路・造成などの土木全般
管工事業給排水・冷暖房設備の配管工事
電気工事業ポンプ稼働用の電気設備工事

さく井工事完了後にはポンプ設置(管工事)・電気配線(電気工事)が伴うことが多く、複数の業種許可を持つ業者に依頼するとワンストップで対応してもらえます。

発注者側の届出・条例について

「自分の土地なのだから、自由に井戸を掘っていいはずだ」と思われる方は少なくありません。しかし、地下水の採取は土地の所有権とは別に、公的なルールが適用される場合があります。

地下水の利用については、国の法律による一律規制はないものの、都道府県や市区町村が独自の条例で届出や許可を義務づけているケースが多くあります。特に、一定規模以上の揚水設備(ポンプの吐出口径や揚水量が基準を超えるもの)については、工事着工前に届出が必要な地域があります。地盤沈下が懸念される地域では規制が厳しい傾向があります。農業用途であっても大量の地下水を継続的に取水する場合は条例の対象となることがあります。

確認すべき窓口は、工事予定地の市区町村役場(環境・土木担当課)または都道府県の環境部局です。許可・届出の詳細はこちらもあわせてご確認ください。


まとめ

  • 「さく井工事」は「さくせい/さくい こうじ」と読み、地盤を掘削して地下水・温泉などを採取するための井戸を造る工事
  • 英語では “well drilling” と表記する
  • 「ボーリング工事」は地盤調査を目的とした孔を掘る作業であり、水採取を目的とするさく井工事とは根本的に異なる
  • 用途は生活用水・農業用水・工業用水・温泉・防災用水と幅広い
  • 建設業法上「さく井工事業」として規定されており、500万円以上の工事には建設業許可が必要
  • 業者選定時は建設業許可(さく井工事業)の有無を国交省の検索システムで事前確認することが重要