03

Jetting Method

浅井戸向き軟弱地盤低コスト

水洗い工法

高圧水をノズルから噴射して土砂を掘り崩す、軟弱地盤の浅井戸に特化した低コスト工法(ジェッティング工法)です。小型機材で施工できるため住宅敷地内や狭所にも対応でき、短期間・低予算で井戸を設けたい場合に適しています。

適応深度

10〜30m

費用目安

30〜60万円

適した地盤

砂・シルト・粘土

標準工期

1〜3日

0m 掘削対応深度 200m
01 / Mechanism

掘削の仕組み

1

地表に設置した高圧ポンプがロッド内部に水を圧送します。先端ノズルから数十気圧の高圧水が噴射され、前方の土砂を直接崩します。

2

崩した土砂は噴射水と混じり泥水となり、ロッド外側の環状空間(アニュラス)を伝って地表に返流します。返流した泥水はサンドポンプで吸引・排出します。

3

軽い回転と下向き荷重を加えながら掘進するため、砂・シルト・粘土の軟弱な地盤を短時間で掘り抜けます。石礫や岩盤には水圧が効かないため適用できません。

4

帯水層に到達したら揚水試験で水量を確認し、スクリーン付きケーシングを挿入して完成します。浅い帯水層に依存するため、気候・季節による水量変動に注意が必要です。

02 / Evaluation

メリット・デメリット

MERIT

設備が小型・軽量

高圧ポンプとロッドさえあれば施工でき、大型重機が不要。住宅の庭・狭い通路からでもアクセス可能で搬入路の制約が最も少ない工法です。

低コストで浅井戸を設置できる

機材費・人件費・工期のすべてが短縮され、4工法の中で最も安価。30万〜60万円程度で浅井戸1本が完成する場合が多いです。

工期が極めて短い

軟弱地盤であれば1〜2日で掘削・ケーシング設置まで完了できます。急ぎの仮設水源確保や試験掘削にも対応しやすいです。

振動・騒音が少ない

打撃機構を持たないため周辺環境への影響が小さく、住宅密集地や商業施設内での施工も比較的行いやすい工法です。

仮設水源・試験用途にも

本格的な深井戸を掘る前の地質確認用簡易ボーリングや、農繁期だけ使う仮設灌漑水源にも低コストで対応できます。

DEMERIT

深度30m程度が限界

水圧が深部に届かなくなるため、一般的に30mを超えると掘進が困難になります。深い帯水層を持つ地域では他工法が必要です。

地盤の制約が大きい

砂・シルト・軟質粘土以外には適用できません。礫・岩盤・固い粘土層では水圧でも崩せず掘進が止まります。

水量・水質が不安定になりやすい

浅い帯水層は季節変動や干ばつの影響を受けやすく、夏場の渇水期に水量が不足するリスクがあります。飲用用途では深井戸よりリスクが高いです。

汚染水が混入するリスク

浅い地層は地表からの汚染(農薬・肥料・生活排水)が及びやすく、飲用に使う場合は定期的な水質検査が特に重要です。

大量の排水が発生

施工中に大量の泥水が排出されます。排水処理・処分のための仮設ピットが必要で、周辺の排水環境を事前に確認する必要があります。

03 / Use Cases

向いている状況

庭の水やり・農業灌漑など水量をそれほど必要としない浅井戸(10〜20m程度)

関東平野・大阪平野など沖積低地で砂・シルト・粘土が連続する地盤

重機が入れない住宅の庭や建物の横など作業スペースが限られる場所

井戸の緊急代替水源・仮設水源として短期間で設置したい場合

本格掘削前に地層を試し掘りして地質を確認したい(試験孔)

予算30〜60万円程度で済ませたい小規模利用の浅井戸

04 / Cost

費用の内訳

掘削工事費(ジェッティング) 40%

深度が浅いため削孔費は比較的安価。1mあたり5,000〜1万5千円程度。

ケーシング・スクリーン材料費 20%

VP管(塩ビ)使用が多く材料費は安め。深度が浅い分コストが低い。

排水処理・泥水処分 15%

発生する泥水量が多く、バキューム車回収や処分費用が発生する場合がある。

ポンプ・電気設備 15%

浅井戸用の小型ポンプは安価。手押しポンプ対応なら電気設備費ほぼゼロ。

検査・諸経費 10%

水質検査・揚水試験費用。飲用なら全項目検査で別途2〜5万円。

※比率は目安。地盤条件・深度・地域により変動します。

05 / Process

施工の流れ

01

地盤確認・適用可否判断

土質試験や近隣の井戸情報から地盤の種類を確認。礫・岩盤が出ない地域かを事前に調査します。

02

小型ポンプ・ロッドの搬入

高圧ポンプ・ロッド・ノズル・サンドポンプなど小型機材一式を搬入。軽トラック1台に収まるため狭い場所でも対応可能です。

03

排水ピットの準備

施工中に発生する大量の泥水を受けるための仮設ピット(バキューム車で回収する場合も)を設置します。

04

水洗い掘削

高圧水とロッド回転で掘進。帯水層に達すると清澄な水が混じり始めます。礫に当たった場合は掘進困難と判断して工法変更を検討します。

05

帯水層の確認

水の透明度・湧出量・水位から帯水層の位置と期待揚水量を確認します。水量が不足する場合はより深い帯水層を目指します(限界有り)。

06

ケーシング・スクリーンの設置

所定深度にケーシング管を挿入し、帯水層部分にスクリーンを配置してグラベル充填します。

07

揚水試験・水質検査

試験揚水で水量と水位降下を確認。用途に応じた水質検査(生活用なら全項目検査推奨)を専門機関に依頼します。

08

ポンプ設置・配管工事

小型の水中ポンプや手押しポンプを設置。配管・電気工事を行い、水質検査合格後に引き渡します。

06 / FAQ

よくある質問

Q 浅い井戸の水を飲用に使えますか?
A

法的には使用可能ですが、浅い地層は汚染リスクが高いため慎重な判断が必要です。飲用にする場合は必ず水質検査(51項目の水道法水質基準検査が推奨)を行い、塩素消毒設備の設置も検討してください。農業・庭用など生活雑用なら問題ないケースが多いです。

Q 礫や砂利が多い地盤でも掘れますか?
A

粒径の小さい細砂や粒状の砂利程度であれば掘進できますが、大礫(こぶし大以上)や玉石が出ると水圧では崩せず掘進が止まります。その場合はロータリー工法やパーカッション工法への変更が必要で、追加費用が発生します。事前に近隣の地質情報を確認することが重要です。

Q 施工面積はどのくらい必要ですか?
A

縦横1.5〜2m程度の作業スペースがあれば施工可能です。ポンプと排水ピットを合わせても3〜4m²が確保できれば対応できる場合がほとんどです。敷地が狭い住宅でも最も対応しやすい工法です。

Q 工期1〜3日と書いてありますが、本当に1日で完成しますか?
A

地盤条件が良く深度15m程度の場合、掘削工事自体は1日で完了することがあります。ただし水質検査の結果が出るまでに1〜2週間かかるため、検査書の受領まで含めると10日〜3週間ほど見ておくのが安全です。

Q 季節によって水量が変わるというのは具体的にどの程度ですか?
A

浅い地層は降雨や季節変化の影響を直接受けます。梅雨・秋雨期には水位が上がり水量が豊富になる一方、夏の渇水期(7〜9月)や干ばつ年には揚水量が半分以下になることもあります。大量消費が必要な用途には深井戸の方が安定性が高いです。

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