04

Air Hammer (DTH)

硬岩向き高速掘削DTH工法

エアハンマー工法

圧縮空気で孔底のハンマービットを毎分数百回高速打撃する、硬岩地盤向けの高速掘削工法(DTH工法:Down The Hole Hammer)です。ロータリー工法と打撃を組み合わせた「回転打撃工法」で、硬岩での掘削速度はパーカッション工法を大幅に上回ります。

適応深度

30〜150m

費用目安

100〜160万円

適した地盤

硬岩

標準工期

数日〜1週間

0m 掘削対応深度 200m
01 / Mechanism

掘削の仕組み

1

地表の大型コンプレッサー(7〜30MPaの高圧)がドリルロッド内を通じて孔底のハンマー機構へ圧縮空気を送り込みます。

2

孔底のダウンザホールハンマー(DTHハンマー)が空気圧で動作し、ビットを毎分300〜1,200回の高頻度で岩盤に打ち付けます。同時にロータリーテーブルでロッドを回転させ、打撃と回転の相乗効果で効率よく岩盤を破砕します。

3

破砕された岩石粉(カッティングス)は、ハンマーから排出される高圧空気によってロッド外側のアニュラスを通り地表へ吹き上げられます。泥水が不要なため帯水層に泥が詰まりません。

4

岩石くずの排出とともに湧水が確認でき、帯水層の位置を直接的に把握できます。泥水不使用のため帯水層の目詰まりなく揚水量を最大化しやすい特徴があります。

02 / Evaluation

メリット・デメリット

MERIT

硬岩での掘削速度が格段に速い

ロータリーやパーカッション工法と比べて硬岩での掘進速度が2〜10倍になることもあり、工期・人件費を大幅に削減できます。

泥水不要で帯水層を傷めない

空気排出方式のため帯水層にベントナイト泥が詰まらず、仕上がりの揚水量がロータリー工法より10〜30%程度多くなるケースがあります。

帯水層の位置確認が容易

掘削排土に帯水層の水が混じると直接確認できるため、孔内検層と組み合わせて帯水層深度を正確に特定できます。

孔壁が安定(岩盤)

岩盤に掘削するため孔壁が自立し、大量のケーシングを使わずに済む場合があります。コストと工期の削減につながります。

短工期での完成が可能

花崗岩など最硬岩でも数日〜1週間で掘削が完了するケースがあり、農業用水の緊急確保や施設整備のタイトなスケジュールに対応できます。

DEMERIT

大型コンプレッサーの搬入が必要

7〜30MPaの高圧大容量コンプレッサー(15〜30kW以上)の搬入が必須で、機材が大型になります。搬入路・設置スペースの確保が前提です。

軟弱・砂礫地盤には不向き

砂や粘土などの軟弱地盤では排出空気により孔壁が崩れやすく、掘削精度が低下します。表層の軟弱層は先行ロータリーで対応する必要があります。

騒音・粉塵が大きい

高圧空気の排出(マフラーなしで90dB超)と岩石粉塵が発生します。防音カバー・粉塵捕集装置が必要で、住宅密集地では施工時間帯を慎重に計画します。

超深度(200m超)は苦手

深度が増すほど必要な空気圧・流量が指数的に増大し、200m超では現実的な施工が困難になる場合があります。

地下水面が高い場所では排出効率が低下

孔内に大量の地下水が溜まると空気圧による排土効率が落ち、進捗が遅くなることがあります。

03 / Use Cases

向いている状況

花崗岩・安山岩・石英閃緑岩・玄武岩など非常に硬い岩盤が表層近くから出る地域

農業用水や地域の上水補助として早期に水源を確保したい場合(工期優先)

泥水使用を避けたい環境保全区域・水源保護区域での掘削

山岳地帯・丘陵地で岩盤が浅く(10〜30m以内)、短期間での仕上げが求められる現場

ロータリー工法では途中で岩盤に阻まれた孔への転換・続行掘削

大規模農業・工業施設の水源確保でROIを最大化したい深井戸

04 / Cost

費用の内訳

掘削工事費(DTH削孔) 42%

硬岩でも高速なため工期が短く人件費を抑制。ビット消耗品コストが発生。

コンプレッサー稼働費 15%

大型コンプレッサーの燃料費・リース費。工期が短い分総額は低め。

ケーシング・スクリーン材料費 18%

岩盤区間はケーシング省略可能なケースもあり材料費を抑えられる場合がある。

ポンプ・電気設備 15%

揚水量が多い深井戸に対応した高揚程ポンプ。制御盤・配線工事費含む。

調査・検査・諸経費 10%

地質調査・揚水試験・水質検査・許可申請費など。

※比率は目安。地盤条件・深度・地域により変動します。

05 / Process

施工の流れ

01

地質調査・工法選定

地質調査で岩盤の深度・硬さ・亀裂状況を把握。表層軟弱層の深さを確認してエアハンマー適用範囲を設計します。

02

ロータリー機・コンプレッサー搬入

ロータリーテーブル付きリグと大型コンプレッサー(15kW以上)を搬入。電源容量と燃料(軽油)の確保を事前確認します。

03

表層部のロータリー先行掘削

軟弱な表土・風化層区間はロータリー工法で先行掘削し、表層ケーシングを設置してからエアハンマーに切り替えます。

04

エアハンマー掘削(岩盤区間)

岩盤区間でエアハンマービットを接続し、圧縮空気を送りながら回転打撃で掘進。岩石くずを空気で地表へ排出します。

05

帯水層の直接確認

排出岩石くず・湧水量の変化で帯水層深度を確認。孔内検層(電気・水温)を併用して帯水層の広がりを評価します。

06

所定深度到達・スタンドパイプ設置

設計深度に達したら岩盤に自立孔を確認し、スタンドパイプ(保護管)とスクリーンを設置します。

07

洗浄・揚水試験

孔内の岩石粉を洗浄後、定量揚水試験で水量・水位・水質を測定。硬岩井戸は揚水量が安定している特徴があります。

08

ポンプ・制御盤・配管設置

深井戸用水中ポンプを設置し、配管・電気工事を行います。水質検査証明書とともに引き渡しとなります。

09

騒音・粉塵の後片付け

施工中に防音シートと集塵機を設置した場合、撤去・清掃を行います。周辺への粉塵影響確認も実施します。

06 / FAQ

よくある質問

Q エアハンマーとロータリー工法を組み合わせることはありますか?
A

よくあります。地表付近の砂・粘土などの軟弱層はロータリー(泥水循環)で掘削してケーシングを設置し、下部の岩盤区間でエアハンマーに切り替えるハイブリッド施工が標準的です。この方法で両工法の弱点を補い合います。

Q 泥水を使わないと孔壁が崩れないか心配です。
A

硬岩区間は岩盤が自立するためケーシングなしでも孔壁が安定します。軟弱表土区間は先行ロータリーで表層ケーシングを設置済みのため問題ありません。地下水面より上の亀裂性岩盤では部分崩落が起きることがありますが、その区間のみケーシングで対応します。

Q 騒音はどのくらいですか?住宅地でも施工できますか?
A

マフラーなしの場合、施工現場境界で80〜90dBになることがあります。防音カバー・消音マフラーを装着すれば65〜75dB程度に低減可能です。住宅地では朝8時〜夕方5時の日中作業に限定し、近隣への事前説明と防音対策を徹底することで施工できます。

Q 電気代・燃料費はかさみますか?
A

コンプレッサーが大型(15〜30kW)のため1日の燃料費は軽油100〜200L分程度が目安です。ただし工期が短い(硬岩でも数日〜1週間)ため、長期間のロータリー施工と比較してトータル燃料費が逆に低くなるケースが多いです。

Q どんな地域でエアハンマー工法がよく使われますか?
A

火山性岩盤が多い九州・北海道・東北地方、花崗岩が広がる中国・近畿の山岳地帯、関東山地・八ヶ岳周辺の農業地帯などでの採用実績が豊富です。お住まいの地域の地質は産業技術総合研究所の地質図や、地元さく井業者への相談で確認できます。

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