スポーツ施設・プール 対象:施設運営責任者・理事

スポーツ施設・プールの水コストを下げる——見落とされがちな「下水道料金」の問題

フィットネスクラブやスイミングスクールでは、プール補水やシャワー利用による水道・下水道料金が経営を圧迫します。その構造と、井戸活用の可能性を整理します。

スポーツ施設の運営を担う人たちが、水道料金の請求書を見て思わず二度見する——そんな話は珍しくありません。プールを持つ施設は特に、水にまつわるコストが思った以上に多くの形で発生します。

この業界が抱える「水」の問題

プールを持つ施設の水コストは、大きく3つのルートで発生します。

プール水の補給 プールの水は蒸発・持ち出し・溢れなどで毎日少しずつ減少します。25mプール(水量約500トン)では、適切な水質を維持するために定期的な換水も必要です。これだけで年間数百トン〜数千トンの水を消費します。

シャワー・洗面の使用 会員制フィットネスクラブやスイミングスクールでは、利用者のシャワー使用が毎日大量に発生します。1人あたり10〜15リットルとすると、1日500人規模の施設では5〜7.5トン。月に換算すれば150〜225トンです。

下水道料金の割増 見落とされがちなのが下水道料金です。プールは水を大量に保有していますが、その水を循環・ろ過して使い続けるため、実際には排水量は少ない——と思われがちです。ところが多くの自治体では「使用水量=排水量」として下水道料金を計算するため、補給した水の量に対して下水道料金が課されます。

プールへの補給水が月に100トンあれば、それに対応する下水道料金が発生する計算です。これが意外に大きな金額になるケースがあります。

課題解決のために検討される選択肢

① 循環ろ過設備の高度化 既存のろ過設備を更新し、水質を維持しながら換水頻度を下げる方法です。設備投資は必要ですが、長期的なコスト削減につながります。

② 節水型シャワーヘッドへの交換 1人あたりの使用量を減らす手段として有効です。コストも低く、導入しやすいですが、削減量は限定的です。

③ 雨水貯留タンクの活用 施設の屋根面積が大きい場合、雨水を集めてプール補水などに使う方法があります。ただし、降雨量に依存するため安定性に課題があります。

④ 井戸の掘削 地下水を補給水として使い、水道代・下水道代の双方を削減する方法です。

井戸掘削を選んだ場合のメリット

スポーツ施設への井戸導入で最も効果が出やすいのは、プールへの補給水と施設清掃用水の代替です。シャワー水への活用は衛生基準のクリアが必要ですが、補給水・清掃用途であれば水質要件のハードルが下がります。

コスト面では、上水道からの切り替えによって単純な水道料金の削減に加え、「使用水量として計上される量」が減ることで下水道料金の削減にもつながります。この「下水道料金の削減効果」は、水道料金の削減と合わせて検討することで、総コスト削減の全体像が見えてきます。

施設の規模にもよりますが、月に50〜100万円の水道・下水道代がかかっている施設では、年間で数百万円の削減効果が期待できます。

知っておくべきデメリットと、その向き合い方

プール水には塩素濃度の維持が必要 プールの衛生基準では、遊離残留塩素濃度を0.4mg/L以上に維持することが義務づけられています。地下水をそのままプールに入れると、塩素との反応で問題が起きることがあります。

対策: 地下水は補給水として使い、塩素処理は従来通り実施します。地下水は塩素剤の消費量を増やすことがあるため、水質によって投入量を調整する管理が必要です。

水質によっては鉄・マンガンが多い場合も 地下水には鉄分やマンガンが多い水域があり、プールに使うと水が褐色に変色するリスクがあります。

対策: 掘削前の水質調査で確認し、必要に応じて除鉄・除マンガン設備を設置します。

施設の地盤状況による制約 既存建物の基礎や地下設備の影響で、掘削位置の選定に制約が生じることがあります。

対策: 建築図面と照らし合わせて掘削可能位置を事前に確認します。駐車場や敷地の空きスペースを活用できる場合が多いです。


水コストの見直しは、施設の収益改善に直結します。まず「プール補水用として使える水量が確保できるか」という視点から、専門業者への相談を検討してみてください。

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